■入試を取り巻く状況
「少子化・不況にもかかわらず、冷めない小学受験熱」
-新聞・週刊誌、情報誌などで、このような記事をよく目にします。
実際、ここ数年の有名小学校の応募者数の変化を見てみると、
東日本大震災後に、応募者が少なくなった学校はあっても、
入りやすくなったといえる学校はあまり見られません。
多数の応募者を集める小学校の例
2015年度入試 (2014年実施) |
2014年度入試 (2013年実施) |
2013年度入試 (2012年実施) |
2012年度入試 (2011年実施) |
2011年度入試 (2010年実施) |
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筑波大付属 (定員160) |
3994名 | 4081名 | 4172名 | 3892名 | 4321名 |
慶應義塾 (定員144) |
― | 1607名 | 1679名 | 1649名 | 1944名 |
慶応義塾 横浜 (定員108) |
― | 1257名 | 1297名 | ― | ― |
早稲田実業 (定員108) |
― | 1026名 | 1079名 | 1081名 | 1234名 |
成蹊 (定員120) |
655名 | 644名 | 636名 | 671名 | 849名 |
暁星 (定員120) |
― | 550名 | 542名 | 567名 | 597名 |
桐朋学院 (定員72) |
479名 | 449名 | 500名 | 506名 | 580名 |
小学校受験が相変わらず、狭き門であり続けているのはなぜか。
それは、私立や国立の教育に魅力を感じる家庭が増えてきたからということではないでしょうか。
それこそ、昔は小学校受験を考えた父母は、ほんの一握りの人数だったわけですが、今は子供の数が少なくなり、一人の教育費にお金がかけられるようになってきて、多くの親が受験を考え、取り組むようになってきたわけです。
「少子化にもかかわらず~」ではなく、「少子化ゆえに受験熱が高まって」いるのです。
大切なわが子の受験準備を始めるにあたって気をつけて欲しいのは、あやふやな情報や、まことしとやかな噂話などに流されること無く、わが子をどのように育てたいかをじっくりと考え、その上で志望校を見つけ、適切な準備を進めていくということです。
家庭の教育方針がしっかりした上で、こんな校風の学校、こうした教育環境というほう九尾をみつけてください。
そして、当サイトを活用しながら、志望校を決定してください。
そうした過程で、常に忘れないでほしいことがあります。
それは、小学校受験は子供の成長、発達の一つの機会だということです。
よく、小学校受験で、その子の一生が決まってしまうような思い込みのお母様がおられます。
そうした不安や緊張状態で受験に取り組んでも、決してよい思いは残りません。
かえって子どもの知的好奇心や興味を損なうことになる方が心配です。
子どもの個性、特性を考えての学校選び、受験への取り組みを工夫していきましょう。
■正しい志望校選び
入学にあたり、選抜を行う学校には、国立小学校と私立小学校とがあります。まずはそれぞれの特徴を確認しましょう。
国立小学校
国立大学の教育研究の場
国立小学校とは、国立大学に付属する小学校を指し、各都道府県に1校以上あります。
教育基本法、学校教育法に則り、自動の心身の発達に応じた初等教育を施すとともに、大学の教育実習の場として、教育実習生の指導に当たっています。
さらに、大学各学部および系列の中学・高校と一体になって、教育に関する理論と実践に関する実証的研究を行っています。
この点はいずれの国立小学校でも同じですが、学校によって教育目標や学校行事は異なり、まったく同じ教育方針がとられているわけではありません。
国立小学校の特徴
国立小学校は公立同様、文部科学省の指導要領に沿って授業を行っていますので、私立小学校のように、外国語の授業や宗教の時間はありません。
また、国立中学・高校の一部には男子校・女子高が見られますが、国立小学校はすべて男女共学になっています。さらに、入学金や授業料が不要なため、私立と比較して経済的負担が軽いというのも大きな特徴です。
国立小学校は、大学の教育実習の場(教育実施研究校)としての役割を果たし、文部科学省の指導要領の大ワクは守りながらも各校独自のさまざまな試みを行っています。
私立小学校の場合、中学受験にむけての指導を行う学校や、6年時に中学の内容を先取りするようなケースも見られますが、国立小学校では受験対策などは一切おこなわれていませんし、中学過程に入ることは立場上ありません。
どちらかといえば、いわゆる机上の勉強よりも体験学習や学校行事、倶楽部などに力を入れている蛍光が強いといえます。
系列上位校への進学
国立小学校から系列の中学校に進学する際の基準については、非公表の学校が多く、その実態については詳しく分かりませんが、学校によってかなり差があるようです。
さらに中学から高校への進学を見ると、その差はさらに大きくなります。例えば、学芸大付属の4中学の場合、高校は1校しかないため、全体の4割強しか進学できません。
このように、国立校では、小学校から無条件に系列の中学・高校に進学できることは限りませんので、注意が必要です。
また、国立大学には系列高校であっても、進学の特典は全くありません。
私立小学校
独自の教育方針
国立・公立小学校に比べ、私立小学校は成約が少なく、弾力性に富んだ教育ができるという特色があります。
宗教教育、外国語教育をはじめ、6年間担任持ち上がり制、習熟度別学習指導、
通知表廃止など、実にさまざまです。
ともすれば画一的になりやすい公立校に比べ、特色ある教育を実践できるところが、大きな特徴となっています。
宗教教育
国立・公立小学校では、特定の宗教教育ならびに活動が禁じられておりますが、私立小学校では、反社会的な宗教ではない限りこうした成約はなく、独自の宗教教育を展開しています。
仏教系の学校では、合掌・読経など、キリスト教系では礼拝・聖書の唱和などを通じて、人格形成教育を行っています。
しかしこれらは、徳育の一環として行われているもので、進行を強いられることはありません。
外国語教育
国立・公立小学校では、英語をはじめとする外国語は教育課程に含まれていませんが、私立小学校では多くの学校で外国語を正課の授業に取り入れています。
英語はキリスト教系の学校ではもちろんですが、仏教系の学校でも採用しているところもあり、その比率はかなり高いといえます。
また暁星小や白百合学園のように、フランス語教室を利用するなどの工夫がなされ、早い時期からリスニングやスピーキングの指導を行うことによって成果をあげています。
小学校から英語を学ぶには、私立は最適の環境にあるといえましょう。
大学までエスカレーター式に進学
私立のほとんどが、系列に中学・高校があり、さらに大学(短大)がある学校が少なくありません。
小学校から系列中学・高校に進学する際は、学業成績あるいは行動面で問題がなければ、原則として進学できます。
また、系列高校から系列の大学または短大に進学する場合も、一部の例外を除き、優先入学の道が開かれています。
ひとたび小学校に入学すれば、大学まで無試験で進学できる道があるというのも、私立ならではの大きな特典です。
ただし、小学校では共学でも上は女子高という学校も少なくなく、そのような場合、男子は外部進学となるので注意が必要です。
一方、系列の中学をもたない学校もありますが、このような学校の場合、中学受験に向けた体制をとっている場合が多く、進学面で実績をあげています。